しとしとと雨の降る秋の夜は本を読みたくなります。装幀のきれいなハードカバーの一冊を選んで、しっぽりワインを飲みながら…。ひとり「うふふ」と、こっそり幸せな時間です。

「花布」は、ハードカバーの本が持っている小さな秘密(?)で、背表紙の天地(上下)にほんのチラッと見える布のことです。
「花布」と書いて「はなぎれ」。何とも風情のある読み方です。

本来は糸を編んでていねいに縫い付け、本を丈夫にする役割を持っていたそうですが、現在は装飾用としてテープ状の布を貼り付けることが多いようです。

本棚にあるハードカバーの本を手に取ると、確かにあります。多くは白、緑、赤、青などの一色ですが、ときどき赤と黄、青と白の縞々などもあります。どれも見えるのはわずか2㎜くらいなのに、カバーや見返しの色とのバランスが考えられていて心憎い配色になっています。

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写真左は『ノルウェイの森』(古い ミ^^ミ;)の上巻、赤のカバー、緑の見返しに緑の花布、
右は同書の下巻、緑のカバー、赤の見返しに赤の花布になっています。
赤の上巻、緑の下巻、とだけ覚えていましたが、こんなところに隠し技があったんですね。
ふと“しおり”を見ると両書とも花布と同じ、それぞれ緑と赤が使われていました。

今度は花布としおりの色が気になってきました。
一冊一冊見ていくと、同色のもの、濃淡になっているもの、赤と黄でまったく違うものなど、さまざまでした。ただ、どの本もカバーや見返しの色とのバランスが考えられていて、その色になっている意図が感じられます。
小さなところに製本職人さんの粋が見えて、本を手にするのが楽しくなります。

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