読点「、」の使い方ひとつで、文章の意味が大きく変わってしまうことがあります。
書き手は、自分がわかっているので気がつかないことが多いようです。
例えば、次のような一文です。

-----------------------------------------
〔改善前〕
私は立ち止まって花を摘んでいる少女に声をかけた。

この文章では、「立ち止まって」いるのが私なのか少女なのか判断がつきません。
では、こうするとどうでしょう。

〔改善後〕
私は立ち止まって花を摘んでいる少女に声をかけた。

この場合、「立ち止まって」いるのは少女です。
では、こうすると……。

〔改善後〕
私は立ち止まって花を摘んでいる少女に声をかけた。

この場合、「立ち止まって」いるのは私です。

----------------------------------------

ひとつの読点の位置だけで、「立ち止まって」いる動作の主が変わってしまいました。
改善前の状態では、文章の内容によっては大きな誤解を生むことになりかねません。

また、

「昨年結婚した妻の弟が…」

のようなケースでは、状況がわからない人にとっては、“昨年結婚した”のが「妻」なのか「妻の弟」なのか、判断がつきません。
こうした場合は読点でなく、文章そのものを見直す必要があります。

結婚したのが「妻」であれば、
「昨年結婚した妻には弟がおり、彼が…」
などとし、

結婚したのが「妻の弟」であれば、
「妻の弟が昨年結婚し、彼が…」
のようにすれば、結婚したのが誰なのか判断がつきます。

ほかにももっとわかりやすくてスマートな言い回しがありそうです。
するっと書けて読めてしまうので見過ごしがちですが、文章を推敲するときは注意してください。

 

*当工房で制作した『読まれるための文章読本』から抜粋・加筆しています。

本はこちら(下の表紙をクリックでもOK)
電子書籍(Kindle版)もあります。こちら
*iOSの方はiTunes Storeの検索窓に『読まれるための文章読本』と入力するとiOS版が出ます。

•文章読本(表紙)

にほんブログ村 外国語ブログ 日本語(外国語)へ


語学(日本語) ブログランキングへ