読点「、」の使い方ひとつで、文章の意味が大きく変わってしまうことがあります。
書き手は、自分がわかっているので気がつかないことが多いようです。
例えば、次のような一文です。
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〔改善前〕
私は立ち止まって花を摘んでいる少女に声をかけた。
この文章では、「立ち止まって」いるのが私なのか少女なのか判断がつきません。
では、こうするとどうでしょう。
〔改善後〕
私は、立ち止まって花を摘んでいる少女に声をかけた。
この場合、「立ち止まって」いるのは少女です。
では、こうすると……。
〔改善後〕
私は立ち止まって、花を摘んでいる少女に声をかけた。
この場合、「立ち止まって」いるのは私です。
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ひとつの読点の位置だけで、「立ち止まって」いる動作の主が変わってしまいました。
改善前の状態では、文章の内容によっては大きな誤解を生むことになりかねません。
また、
「昨年結婚した妻の弟が…」
のようなケースでは、状況がわからない人にとっては、“昨年結婚した”のが「妻」なのか「妻の弟」なのか、判断がつきません。
こうした場合は読点でなく、文章そのものを見直す必要があります。
結婚したのが「妻」であれば、
「昨年結婚した妻には弟がおり、彼が…」
などとし、
結婚したのが「妻の弟」であれば、
「妻の弟が昨年結婚し、彼が…」
のようにすれば、結婚したのが誰なのか判断がつきます。
ほかにももっとわかりやすくてスマートな言い回しがありそうです。
するっと書けて読めてしまうので見過ごしがちですが、文章を推敲するときは注意してください。
*当工房で制作した『読まれるための文章読本』から抜粋・加筆しています。
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