〈推敲のコツ/漢字編〉迷子になった飼い猫は「探す」?「捜す」?

パソコンやワープロを使って文章を書くとき、なんと言っても便利なのが漢字変換でしょう。賢い入力ソフトであれば、かなりの長文を打っても見事に正しく変換してくれます。でも、ときどきちょっとした落とし穴もあるようです。たとえば、次の文章を入力してみてください。

「まいごになったかいねこをさがす」

あなたの入力ソフトはどう変換しましたか?

「迷子になった飼い猫を探す」

でしょうか。それとも、

「迷子になった飼い猫を捜す」

でしょうか。

違いは最後の「さがす」です。ここで、「ん?」と立ち止まればいいのですが、どちらの「さがす」に変換されても、そのまま疑問なく進んでしまってはいませんか?

「探す」と「捜す」はどちらもよく使う漢字ですが、意味の上では少し違いがあり、一般的には次のように使い分けます。

探す…目にしたことがないものを「さがす」場合
捜す…目にしたことがあるものを「さがす」場合

ですから、「新しい服を探す」や「森できのこを探す」のように、まだ目にしたことがないもの(未知のもの、欲しいもの)の場合は「探す」となり、「なくした手帳を捜す」や「失踪人を捜す」のように、目にしたことがあるもの(既知のもの、見えなくなったもの)の場合は「捜す」となります。

最初の「迷子になった飼い猫」は、目にしたことがあるものなので、「捜す」のほうを使うというわけです。

こうした使い分けのある漢字は、その漢字が持つ意味合いを理解して正しく使い分けるのが本来的には理想です。しかし、なかには微妙な場合があったり、あえて意味を込めてその漢字を使ったりするなど、表記に“ゆれ”のある漢字も多数あり、混用されているのも事実です。興味を持った漢字を辞書などで詳しく調べてみると、さらに面白いでしょう。